神奈川県の公立高校受験では、全員に面接が課されます。また、昨今志望者が増えている大学の推薦入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)でも面接が選考方法としてあります。その面接の中で「志望理由」とともに必ず質問されるのが「将来の夢(目標)」です。
しかし、実際に面接練習を生徒の皆さんに行う時に、意外とすんなりと出てこないのが「将来の夢」です。何故夢や目標が出てこないのか、生徒に理由を聞くと、「自分が何をしたらいいのかわからない」「何に向いているのかわからない」「たくさんの職業から選べない」といった答えが返ってきます。確かに、以前と比べると職業の数や種類も星の数ほど多く存在しますし、大学での学部や学科の数も30年前と比べると3倍近くに増えています。その中から自分に最適な夢や職業を見つけ出す、ということはとても大変なことでもあります。
小学生の将来つきたい職業ランキングでは、上位に「YouTuber」「パティシエ」「プロスポーツ選手」「保育士・看護師」といったものが入ってきます。これが高校生になると上位は「公務員」「教師」「医療関係従事者」なと一気に現実的なものになってきます。これは何故でしょうか。ちなみに保護者が子どもになって欲しい職業として「公務員」「看護師」「教師」「医療関係従事者」というものが上位にくるのです。つまりこれは親の希望が子どもの将来の夢になってきている、ということではないでしょうか。理由として、保護者の希望する職業として「安定している」ということが重要な項目になってきているように感じます。つまり、親として我が子に「安定して苦労せずに幸せに生きていって欲しい」という願望があるように思います。
しかし、「安定=幸せ」でしょうか。私は、公務員になることや看護師、教師になることを否定しているわけではありません。大事なのは、その職業についた後、どのように社会貢献するか、ということなのです。人は、誰かのために仕事をし、多くの誰かに支えられて生きています。そこにやりがいや充実感が感じられるか、その仕事で誰かのためになっているという実感が得られるかということです。それには好きなことを仕事にできることが一番です。
例えば、「サッカー選手になりたい」という希望に対して、ほとんどの大人が、「そんなごく一部の選ばれた才能のある人しかなることができない」と否定的になってしまうことが多いと思います。私は、そうでなく、サッカーが好き、ということであれば、選手になることだけを考えるのではなく、そのサッカーに関連する周辺にまで範囲を広げて考えてみるのが大事と思います。サッカーをするのが好き、観戦するのが好き、仲間と一緒に何かをするのが楽しいなど。それであれば、サッカー選手のトレーナーやスタジアムの職員、サッカークラブのスタッフ、スポーツ記者などいろいろ広がってきます。
やはり、「好きこそものの上手なれ」というように、自分自身が社会人として仕事に向き合う時には、好きなことに目を向けてみるのが大切です。
中萬学院 個別指導事業部 加藤寛樹