教室でも、生徒から「どうして勉強しなくちゃいけないの?」と聞かれることがあります。勉強するのは当たり前、と言ってしまえばそれまでですが、子供たちが納得できるような答えは、ないのでしょうか。
生徒によって、答えは変えていますが、根本的には、
「人は一人では生きられないからだよ」
と言うようにしています。ほとんどの生徒がこの答えにキョトンとしていますので、例えを用いて話を続けています。
「例えば、目の前にある蛍光灯。これを百万円あげるから一から作って、と言われたら作れるかい?難しいよね。これは誰かが蛍光灯の仕組みを考え、違う誰かがその素材を開発し、また違う人がそれを作り・・・というように一つのものにも多くの人が関わっているんだ。つまり、一人ひとりがそれぞれの仕事をし、別の多くの人たちの役に立っていることで、この社会は成り立っているんだ。
また、大人になっても毎日勉強は続くんだよ。英語や数学といった科目ではなく、お父さんなら『顧客から新しい企画の提案のために、新しい分野の知識と技術を習得しなければならない』とか、お母さんなら『今日は牛肉が安いから、初めてだけどビーフストロガノフにチャレンジしてみようかしら』というようにね。将来のいろいろな新しいことを乗り越えていくそのために、今は英語の文法を覚える、数学の公式を使って解く、といった科目の勉強をしているんだ。そしてその日々の勉強の中で、自分にとってどんなことが好きなのか、得意なのかも大事なんだ。自分の好きなことや得意なことを活かしてみんなのために何かできることは素晴らしいことじゃないかな。」
他にも、単純に
「勉強していないと、悪い人にだまされてしまうよ」
「自分の好きな仕事に就きたいとき、勉強をしっかりやってきた人とそうでない人、どちらが採用されるかな?」
「単純に、勉強している人ととそうでない人は、年収も大きく違ってくるんだよ」
など、生徒の性格や価値観を考えて色々な観点から伝えるようにしています。目標や夢なしに無目的に勉強するのではなく、今学習していることが必ず自分のためになる、という気持ちを抱いて、前向きに学んで欲しいと思います。そしていつか、あのときしっかりとやっておいて良かった、というように振り返る日がくるように願っています。
中萬学院 個別指導事業部 加藤寛樹