夏休みには読書感想文を書く宿題がよく出ますが、なかなかうまく書くことは難しいものです。今回は、ヒントになることをお伝えできればと思います。
そもそも、感想文は、新たな「体験」から得た「学び」や「気づき」から、「感じたこと」や「考えたこと」を書くものです。読書感想文では、本との出会いとその本を読むこと自体が「体験」となるので、出会いのきっかけや選んだ理由なども書くといいでしょう。
本はさまざまな種類があります。好きなものがテーマになった説明文や、映画の脚本になった小説などは、興味がわき易く、感動できるものが多いです。伝記は、偉業を成し遂げた人物の説明文ですから、比較的書きやすいジャンルと言えます。
本を読み始めたら、その本の興味を持ったところ、面白いと思ったところ、意外に感じたところなどに「ふせん」を貼っておくと、後で書きやすくなります。
さらに、これを「箇条書き」で書き出してみると、書きたいことが整理できます。「ハガキ大の紙」に書き出して、並べてみると、自分が書きたいことの全体像がつかみやすくなりますよ。感想文は、必ずしも本のページの順番通りに書かなくても構いませんから、この段階で順番や構成を練っておくと、原稿用紙に向かった時にぐっと書きやすくなりますので、おススメです。
原稿用紙に書き始めると段落分けが必要ですが、先程の「ハガキ大の紙」が一段落になるように書くといいでしょう。段落の初めに接続語を入れると、段落どうしのつながりがはっきりして、読みやすい作文になります。
「書かなければいけない文字数に届かない…(汗)」というような経験がある人もいるかもしれません。その場合は、書いておくべき「詳しくする内容」が抜け落ちていると考えましょう。「詳しくする」ためには、「例えば」を使って具体例を入れたり、「なぜなら」を使って理由を加えたり、または、「もしも」を使って仮定の話をはさみ込むと中身の濃い作文になります。
ところで、「感じた」ことと「考えた」ことには違いがあります。「感じた」ことは、単に「思ったこと」。でも、「考えたこと」は、大袈裟に言えば、自分がこの本との出会いを通して、これからの人生で行おうと「決めた」ことです。例えば、お手本となる素晴らしい努力をした偉人の伝記を読んで、自分も見習って努力しようと決意した、というようなことです。感想文の「まとめ」の部分で、自分の「考え」を書くことができれば、一段レベルアップできますよ。
同じ本でも、人によって感想が異なったり、年齢によって捉え方が変わったりすることがあるのはなぜでしょうか。それは、ものの感じ方が、読者の実体験との照らし合わせによるものだからです。ですから、読書感想文に正解はありません。自分が「感じたこと」、「考えたこと」をありのまま、自信を持って書いてみましょう!レッツトライ!
中萬学院 個別指導事業部 高校受験教務担当 木村 貴充