81.4%が県内全日制公立高校への進学を希望、実際に進学できるのは62.5%
神奈川県教育委員会は12月1日(火)、「2015(平成27)年度公立中学校卒業予定者の進路希望の状況」を発表しました。発表によると、2016年3月の公立中学校卒業予定者総数は70,369名、このうち高等学校(以下高校と表記)等進学希望者は68,221名、卒業予定者数に占める割合は96.9%と昨年度より0.3ポイント上昇しています。
高校等進学希望者全体の動きを見ると、「全日制高校」特に「県内進学」の希望が昨年度より高まっています。「全日制高校」を希望する割合は92.2%、昨年度の91.9%から0.3ポイントの上昇です。そのうち「県内公立高校(全日制)」進学希望は81.3%と前年度よりわずか0.1ポイント減少、県内私立高校は6.8%で0.7ポイント上昇しています。
なお、2016年3月の県内公立中学校卒業予定者数は昨年度から614名増加、これに対し全日制公立高校の募集定員は昨年度から450名増加しています(※1)。卒業予定者数に対する2016年度公立高校募集定員の割合は62.5%と2015年度から0.2ポイントの上昇です。したがって、今回の調査結果どおりに全日制の志願が行われた場合、実際の志願競争率の平均は昨年度よりもわずかに低くなります。
【進路希望調査結果 統括表】
※1) ここでの卒業予定者数は同時期比較をするため、2015年5月・2014年5月「学校基本調査」の当該学年の生徒数に基づいています(2015年5月生徒数70,289名、2014年5月生徒数69,675名)。神奈川県教育委員会の発表は10月20日時点の調査結果に基づくため、2016年3月卒業予定者数を70,369名・2015年を69,712名と表記しています。また募集定員については、神奈川県教育委員会の発表では全日制全体で455人拡大と記載されていますが、こちらは特別募集での5人拡大(橋本高校の在県外国人特別募集)を含んだ数字となっています。
全県の地元地区外進学希望率は0.4ポイント上昇、ただし地区によって差
全県の地元地区外進学希望率は45.5%と2015年度から0.4ポイントの上昇です。例年通り各地区毎で希望状況に大きく差が出ています。
一番上の資料は市区町村を17の地区(※相模原北部津久井・相模原南部は相模原市で1区とする)でまとめ、各地区の生徒の動きを矢印で示したものです。希望状況を反映した後の17地区のうち、中学校が所在する地元地区内への進学希望率が最も低いのは横浜南部です。地元地区内の高校を希望する(=地元に残留する)生徒は30.1%にとどまり、約7割の生徒が地元地区外の高校への進学を希望しています。この他に地元残留率が50%以下の地区は5つ、中でも45%以下と低い地区は横浜西部(38.4%)・横浜中部(44.2%)平塚(44.7%)・大和座間綾瀬(43.7%)です。市区町村別の進学希望状況は神奈川県教育委員会ホームページに詳細な統計表がありますので、そちらもあわせてご覧ください。
二番目の資料では中学校が所在する地元地区の生徒数を100とし、希望状況を塗り分けで示しています。県内で最も進学希望の多い地区は横浜中部(128.5%)です。地元生徒の希望率は44.2%と低いにもかかわらず、隣接する横浜西部や横浜南部からそれぞれ600名超の進学希望があるなど人気を集めています。一方、最も進学希望が少ないのは横浜西部(70.6%)です。地元生徒の希望率は38.4%と低く、さらに外からの希望者も少ないため濃い青色になっています。矢印の数を見ても分かるとおり、横浜市内地区など複数の路線が乗り入れている交通の利便性が高い地域では、生徒の進学希望地区が多岐に渡りやすく、多様化する傾向が見られます。
三番目の資料では、今回の調査で希望者が400名を超えた高校を示しています。2016年度募集を行う全日制公立高校のうち、400名以上の高校は全部で56校(昨年度50校)です。うち500名超の希望者を集めた高校は24校あり、横浜翠嵐・港北・岸根・市ヶ尾・川和・希望ヶ丘・柏陽・横浜緑ヶ丘・新城・住吉・多摩・鎌倉・湘南・藤沢西・茅ヶ崎・秦野・厚木・海老名・大和・市立橘・市立金沢・市立桜丘・市立戸塚・市立横須賀総合です。中でも住吉・鎌倉・茅ヶ崎・市立金沢・市立戸塚・市立横須賀総合の6校は600名超、横浜翠嵐・市ヶ尾・川和・湘南・海老名の5校は700名を超える希望者数となっています。
県内重点校の進学希望率は昨年度よりも高い19.5%
以下では県立学力向上進学重点校・横浜市立進学指導重点校計22校の状況を表にまとめました。2016年度全日制県内公立高校進学希望者57,175名のうち、県内進学重点校への進学を希望している生徒は19.5%の11,124名です。2014年度全日制県内公立高校進学希望者では18.6%、2015年度は19.1%と年々希望者の割合が伸びており、進学重点校への人気の高まりが伺えます。また、同じ進学重点校でも学校によって希望状況に違いが生じています。
【県内進学重点校の希望状況】
進学重点校などの上位校希望生にとって、併願する私立高校選びは大変重要です。2016年度入試では法政大学第二が共学化に伴い女子募集を開始、法政大学女子の志願動向への影響が考えられます。多くの併願者を集める中央大学横浜や山手学院が出願資格を引き上げていることも注目点です。
また、今後の少子化を見据えた新たな県立高校改革の実施が2017年度より始まります。その第1期の対象校や改革内容の発表が12月中に予定されており、2016年度の入試志願動向にも影響する可能性があります。
情報に惑わされることなく、志望校に向かってしっかりと学習を
最後に、この「進路希望調査結果」を見る上でご注意いただきたいのは(1)調査が10月20日時点の希望であること、(2)調査時点で2016年度公立高校募集定員はまだ発表されていないという点です。
この調査結果はこれから中学校で行われる進路面談の資料としても利用されるため、毎年そのアナウンス効果もあって2月の最終的な志望校決定まで受験生の希望状況は変化していきます。特に2016年度の入試では、12月に発表される再編・統合と新たな指定が募集に影響することもおおいに考えられます。
したがって今回の調査結果を見て、行きたい高校の人気が高いからといって悲観的になったり、敬遠を考える必要はありません。一方で、人気が低いからといって安心できるというものでもありません。大切なのは自分の目標とする高校の合格を目指し、本番までの約2カ月余りでまずは学力検査本番で確実に得点できる力をつけることです。
入試に向けて受験生はいよいよ正念場を迎えます。志望校合格に向けて一緒に頑張っていきましょう。